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Malicosmos ―高橋真理子の小宇宙

malicosmos.exblog.jp

「つなぐ」「つくる」「つたえる」「とどける」 これが自分の仕事のキーワード

第7回つなぐ人フォーラム

「つなぐ人フォーラム」がはじまったのは2008年9月のこと。
そのときのことを、まったく全体報告というのではなく、自分的な方面からの感想が主体ではあるけど、フォーラムがはじまった経緯も含めて書いているのがこちら。そんなのを見ていると、つなぐ人フォーラムの歴史とか書きたくなって、まてまて、今それに費やす時間じゃないぞ、と。でも、もしかしたら、また7年後ぐらいにこれを見返すときがくるかもしれない。

先日の「第7回つなぐ人フォーラム」。毎年ほんとに面白い人たちが集まり、毎年充実度は増しており、おそらく加速感もあり。これまでと、今回のと、少し相対的にみながら、今年、自身のテーマになったこと、気づいたこと、などを残しておきたい。
スタッフあわせて170名ほどの参加。フォーラム後のアンケートや、フォーラムが終わったあとのFB上で、その興奮やら気づき、またそこから新しい生活とのリンク、などなどそんなものを見ながら、思ったこと。その後の自分の中でぐるぐるまわっていることも含めて・・

★スピード感
何人かの実行委員が言っていて、私もそう思ったけど、「つながるスピードがはやくなっている」。なりふり構わず名刺を交換しているわけでもないのに、互いの共通項を見つけつつ、相手の話を新鮮に聞ける。そういう相手が実に多い。
場が成長してきているのかなとも思う。
当然のことながら、何か人が集う場をつくるとき、そこにいる人たちと、ファシリテーターと、その間の空気は、ほんとにナマモノ。でも、自分がどうふるまうべきかわかっている、ある意味成熟された場のようにも思う。もちろん、それがどうもざらざら感になったり、居心地悪い人もいるだろう。でも、そういう気持ちさえも、何かの折に外に出すことができる、そういうきっかけを与えてくれる人がバランスよくいる、そんな感じ。

★働き方・あり方、生き方
いわゆるフリーランスで働く人、組織で働く人、その中間にいる人・・それぞれやっている内容はかなり違ったとしても、働くスタイル別で考えると、自分が活かされているか、他者と力をあわせているか、当たり前だけれど、社会をよりよく構成するための要素が見えてくる。一人ひとりの中にあるものを、なるべくひっぱりだして、それを仕事につなげようとお手伝いする仕事、組織でマネジメントする人、スタイルを模索する人、いろんな立場の人がいるから、ほんとにポジティブに話が進んでいくんだろうな。
同業者の集まりが、何かと組織への不平不満になりがちなのとかなり対照的。
一人ひとりの想いが実現できて、かつ、それを組織の力に変えていこうとしている人たちにも出会えた。そんな話が際立っていたのが、シミンズシーズの柏木さん。自立した市民を支援するNPO。とにかく楽しいことをたくさん生み出しながら、ソーシャル課題を自分ごとに変えていく。そういった市民を支援するには、とにかく自分たちが楽しくないといけない!というコンセプトのもと、一人ひとりの想いの共有と振り返りがすごい。こういう働きがそれぞれの公共施設にあれば、また社会は変わっていく。
一人ひとりの想いを実現する組織、アメーバ―型。
こういったことと似た話を、3年前のつなぐ人の2.5時間ワークショップで、知恵熱が出るぐらいに白熱した議論をした。そのときのつなぐ人報告はこちら
自分の想いと社会のニーズの接点。そこでの仕事。それを実現するためのさまざまな手法。それを実践している人をそれぞれ知っているっていうだけで、希望が生まれる。そういう希望が、このフォーラムには満ちている気がする。
でも、ほんとうに大事なのは、こういった希望の気持ちを、いかに自分の場所に応用していくか、それこそつなげていくか、っていうことなんだよね。

★不惑? それぞれの年代があるっていうこと
最終日の2.5時間ワークは、いつも2日間過ごしたのちに、ワークショップを企画したい人が手をあげて、最終日の時間を過ごす。15本ぐらいのワークが、2日目夜までにたくさんあがってた。
当日朝、緊急の用件(自分の失敗がゆえの)あり、長坂の街までいって、帰ってくるという1時間のロスあり。そのドライブの間、上記の「個人と組織、働き方、ありかた」っていうテーマで提案すればよかったなあ、なんていうことを思っていながら戻ってきて「Happy 40! アラフワ世界フワフワ会議」へ。入ってきたら、みんな胸にガムテープつけて、そこに「S50」とか、「S52」とか書いている。なんだこりゃー。私、あと数日で、四捨五入するとあっちの世界なんですが・・と思いながら。救いは、私と数か月違いのKさんがいてくださったこと。(笑)そして、すでに「提案すればよかったなあ」と思っていたことがばっちりそこで行われていて、自分が思っていたよりはるかに面白いことがすでにおきていた。ワークショップ企画者の一人、川路さんが、糸井重里の「ゼロになってちゃんともがく」を紹介。今のこの40でのもがきが、10年後、何に変わっていくのか、いけるのか、みんなそれが知りたい、と思う。
 ぐるりと環になって、今とこれまでの自分を伝え、聴きたいことを聴き、自分を持ち出して、いろんな人生に触れる。私はやっぱり、いろんな人の生き方(もちろん、それぞれ一生懸命である生き方)に触れるのが好きだなあ、と感じる。これは大学生のころから全然変わらない。「自分」というものを必死で探しながら、他者との関係性の中でのみ生きていく人間。地球上に生を受けてから、地球が太陽の周りをまわった回数という意味合いにおいて、誰もが等しい時間を経由している。その等しい時間というなんとも言えない漠然とした感覚があるから、共感度も高くなるのだろう。そこに、少しその時間の少ない年代は、その先の生き方が見たい、と切望する。先に時間を過ごしたものは、自分がきた道を何かの形で、残したいと感じる。おそらくミームとして。そういった関係性こそが、健全なというか健康な社会のために必要なんじゃないかなあ。実にすがすがしい思いにあふれた会だった。

★自分ごと、自分たちごと、そうでないこと
「自分ごと」「自分たちごと」そういう言葉を使う人が多い。原発も、震災も、教育も、子育ても医療も福祉も、とにかく大勢が「人ごと」と思っていると、なかなかよい方向にいかない。いかに「自分ごと」「自分たちごと」にしていくか、それが地域をつくる力になる。Think the Earthの谷口さんが「自分ごと化のエッセンス」という45分を行った。同名の本をつくるとしたら、どんなタイトルが必要?というお題を、各グループの話の中から引きだしていく。私がいたグループで話されたことの中で、興味深かったのは、何でもかんでも「自分ごと」にしていたら、生きていけない、っていう話。それはほんとにそうだな、と思いながらも、完全にそのことにうなづけないのは何故だろうか、ということを考えていた。今の社会があまりに「人ごと」と思う人々であふれているからだろうか? ワークショップの最初のときに各グループごとで、「自分ごと」になっていくときのキーワードをあげてください、と問われたとき、まっさきに思い浮かんだのは、「当事者」ということだった。先に書いた、原発、震災、教育、子育て、医療、福祉・・当たり前だけど、かなり社会的弱者となる当事者が必ずいる。その当事者にどれだけ寄り添うのか、それが「自分ごと」にするっていうことなんだろう、と。その当事者がリアルにそこにいるかどうか、というのがまずはきっかけなんだろう、と。
 一方、45分の枠が空くことになり、実行委員の一人、寺田さんが私に一緒にやりましょう、と声をかけてきた。そして「行先は宇宙?海?山?半径10m以内の「旅」のススメ」という45分になった。趣旨としては、私がやっている病院がプラネ、みたいに、なかなか届けられない人に届けていくことって、どんな人にどんなことができるんだろう?というのを一緒に考えようというもの。寺田さんの提案で、フューチャーセッションのスタイルにて、考える、聴く、伝えるのが短い時間の中でもあれこれ起きる。最後に、「どんな人に、何を届けていきたい?」と言うことを各自紙に書き、似たような意見を持つ人をみつけてその輪でさらに話をする。このお題は、少し、参加者のみなさんを戸惑わせたようだった。すぐに意味がわからない、思いつかない人も多かったように思う。このお題は、言い換えてみれば、どんなことを「自分ごと」にしていきたい? ということだったのかもしれないし、自分ごとになっていることは、何だろう?ということだったのかもしれない。
 私は「ひきこもり」がキーワードになったグループで意見交換した。そのとき、「自分ごと」と「当事者」の間の深い溝を思い、それをわざと埋めようとしたり、無理やり近づいていこうとする「おせっかい」ということを思った。私が常々思ってきた、星空を届けたい相手、被災地であり病院であり人数としてマイナーな人たちであり、ストレス社会であり・・。言ってみれば、超おせっかいなことをやっているようにも思った。でも・・こういった当事者こそが、誰かと関わっていくことが必要で、それが社会がやるべきこと、なんじゃないの?とも思う。自分の「ほっておけない感」と、相手が必要とすることの間に、自分の仕事。そのバランスが、社会全体で保てれば、こんなに幸せなことはないのだろうけど、実にバランスのとれていないこの日本。そのバランスのために、「つなぐ人」ってたぶんまだまだ日本社会に足りていないんだと思う。

★存在
人とつながっただけじゃなくて、自分とつながりました、と感想を言っていた人たちが結構たくさんいた。 たぶんそれはほんとに人それぞれの、悩みやら課題やら、何か漠然ともやもやしたものや・・千差万別にあるのだけど、いずれ一つの器にはいった自分という存在とどうつきあっていくのか、これをどう活かしていくのか、他者とどう相対するのか。これはおそらくみんなの共通項。
共通するものを持ちながらも多様な他者に囲まれ、自分がどんどん相対化されて、そこであらたにきづく人。共感する力を十分もっていながら、流されない「突起」(と誰かがいっていた。このときの議論を正確に伝えているかわからない)があるから、自分に気づく。 そういう人がこれまた多かったのかも。

1日目と2日目、どちらも夜の時間帯にプラネタリウムをやった。懇親会の間中、ひたすらやったので、いわゆる懇親会の時間はほとんど参加してないんだけど、でもこれをやっていることの意味合いっていうか、やりがいっていうか、つなぐ人には強烈にある。もちろん「宣伝」の意味合いがないわけじゃないけど、日中、すごいいろんな考えに触れ、心がかきまわされ、かなりテンションがあがっているときに見る、宇宙。そこからの地球。他のときに比べて、各段に涙流す人が多い・・・。
他者と出会って、おそらく自分というものをすごく意識しているそのさなかに、存在っていうがどーんと落ちてくるというのか、なんというのか。
それを言葉にして語ってくれる人もいるし、よくわからないけど、泣けます!という人もいる。でも、「宇宙」って確実に人々と、その社会のよりどころになっていける、なっていてほしい、と思えるもの。そういうものを携えて、いられることのありがたさをまた感じさせてくれる時間でもある。

「つなぐ人フォーラム」この先、どこへ向かっていくだろう。もっとブレイクスルーが欲しい、と思う人々、今のままでも十分、もっといろんな人たちに知らしめたほうが価値があると思う人々・・
私はこれまで集った「つなぐ人々」のことを、本で紹介できればなああ、と思っているのだけど。



by malicosmos_meme | 2015-03-04 00:21

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