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Malicosmos ―高橋真理子の小宇宙

malicosmos.exblog.jp

「つなぐ」「つくる」「つたえる」「とどける」 これが自分の仕事のキーワード

しみじみと~2月振り返り

また誕生日を超えた。つくづく「また」という感覚。2月を味わう・・ことがあまりできずに過ぎてしまった感もあるけど、一方で、振り返るとやっぱり、しみじみすることがある。

★姫路文学館
この1年、ほんとに兵庫とのご縁が多いように感じてる。神戸市青少年科学館での研修、チャイケモハウス、のじぎく支援学校、今回の姫路。去年のつなぐ人フォーラムに、神戸在住の、大学時代の友人を呼んだことからのことごとも、また、今年のつなぐ人フォーラムも神戸の人が私のプラネにやたらと反応してくれたり(笑)。
姫路文学館、そこから堂々たる姫路城を臨みながら、まわりは昔ながらの町屋の雰囲気を残す静観なところ。
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姫路文学館は、ちょうど「播磨の星ものがたり」という企画展を行っていて、野尻抱影氏とつながる桑原昭二氏(元姫路科学館館長、元教育長など)が、姫路高校の天文気象班とともに調べてきた、播磨地方の星の名前がさまざまに紹介されていた。
今回、それとも少し絡めつつ、「星のコトバをよみとく~宙をみていのちを想う」というタイトルでお話させていただいた。いつものspace fantasy で語るようなことより、もっとこれまでやってきた企画のこと、そこから見えてきた星を見上げることの本質・・・それに関連した、文学に描かれてきた星の情景なども入れていたら、盛りだくさんすぎて、ちょっと1時間20分に収まらず・・。でも、「これまで見たことないような講演会」に、みなさんだいぶ満足してくださった模様。

この日、関西・中国方面のプラネ関係者が集う日になったことも、妙にうれしいことだった。私的に、大きな気づきをもらったのは、今回の企画展にも関わられて、いろいろお世話もしてくださった吉岡さん(星の子館)と、展示をみながら「何故、万葉集、古今和歌集もろもろ、星の記述が少ないのか?」という話題をしたこと。「恐れ多くてかけなかったんじゃないか」っていう話もきいたり、池澤夏樹も日本の文学の成熟度とからめて書いていたりしたけど、どうも納得できないものばかり。でも吉岡さんが、「日本人の感性は、うつろいゆくものが美しいと感じる感性なんじゃないか。桜が散る、といった一瞬のはかなさみたいなものが。それに比べると星は変化が少なすぎたんじゃない?」と。これについては、妙に納得してしまった。たしかに、地上での変化がほとんどない砂漠の文化と、次から次へと四季折々の変化が見えるこの場所の文化では、まったく違うものができておかしくない。日本人のオーロラ好きにも通じるものがあるような気がする。 

プラネの人々といろいろ尽きぬ話をしながら、星の子館の観望会も見せてもらい、そのあとには、またそこにはこれなかったプラネの人々が飲み会として集まり・・。明石の南極授業のことからはじまり、船のプロジェクト、私が何故独立したのか? プラネの可能性もろもろ、「同志」という言葉がぴったりの仲間に会えるのはとても楽しいこと。

兵庫でのまた別の出来事。去年7月にお邪魔して以来、交流が続いている県立支援学校の高校3年生のTくん。彼の学校の先生は、もともと「星つむぎの歌」つながり。ほんとに天から降ってきたみたいに、その先生は、本屋さんで、「星つむぎの歌」絵本に出会って、こちらに連絡をしてくれてからのおつきあい。Tくん、抱える大きな特徴ゆえ、他者との関わりでいくつかの困難を抱えながらも、私は、あのspace fantasy liveのあと、なんどか文通を続けている。
彼がまもなく卒業を控え、自立できるようにと個室でがんばって生活する姿を見せてもらい、そこで、彼の好きな長淵剛の「未来」を歌い、そのあと「星つむぎの歌」を歌って、そこから眺めた夕焼けの色。

他者との関わりの中で、自分を生きていく。どんな人にも与えられたその使命。これを書いている今日は、彼の卒業式。彼が笑顔で、みんなに「ありがとう」と言えることを心から願いつつ、エールのファックスを送った。

★実家のある自治会での講演会
自分の親、企画なので、ちょっと恥ずかしいなあーと思っていたけど。自治会長さんもとても一生懸命で、集会所の窓を全部外側からはって、真っ暗状態をつくってくれたり、布スクリーンをぶらさげる棒もとりつけてくださったり。そして幼稚園、小学校の同級生の親御さんたちがたくさんきてくださって、「まりちゃん、まりちゃん」と声をかけてくださる。大学のときからずっと離れていて、今、帰るのもお正月のときぐらいという、地元不孝なのにもかかわらず、こうやって優しく受け止めてもらえたこと、とてもありがたい出来事だった。小中学校にも声をかけるわよ、と言ってくださった方も多数。また次につながるといいな。
しかし・・この前日、みなみが高熱をだし、当日の朝、実家の母親にきてもらってそこからバトンタッチで、こちらが実家にいって・・という妙なことになってしまった。もう6年前に、出身中学校で講演したときには、みなみはまだ4歳で、その日、保育園にいかない、と泣かれて、車にのせて連れてきたこともあった。どうも・・何かあるのかなあ。
実家からほど近い、荒川の土手から、富士山の頭と、浅間山の頭が実に、同じような具合で見えるということを発見。上、富士山。下、浅間山。
住んでいたけど、見えていなかったもの、風景、人、年を重ねるとそういったものがつながってくる。だから年を重ねるのは悪いことじゃないと思う。
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★つなぐ人フォーラム
このことは、前回のブログにまとめて。

★星の語り部東北・被災地プラネツアー
震災以降、「星の語り部」として行ったのが(自分が参加できたのが)3回14か所、「星つむぎの村」で2回1か所、「星空工房アルリシャ」で、3回7か所・・そのたびに、そこで生活するみなさんと会い、土地をみて帰ってくる。年に1回か2回、そういう機会をつくって、その匂いや音や空気を肌で感じて帰ってくる。
前回のブログ、「つなぐ人フォーラム」の報告に書いた、「自分ごと」「自分たちごと」、やっぱり、被災地のことは、みんなが少しずつ自分ごとにしていたいことだと、ほんとに思う。
今回、陸前高田、気仙沼、南三陸、石巻とちょっと強引なスケジュールで、実質2日間で7か所まわった。プラネは14回。金曜日の夜に甲府を出て、東京組と石川PAで合流。朝まで走って、高田の玉の湯。朝からごはんもお風呂も・・・。すごくいいところ。
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高田の一本松は、そのまわりの土砂を運ぶ巨大なベルトコンベアーに阻まれどこにいるのかわからないぐらいになってしまっていた。生きていた、そして生きていく土地を自然から取り返す作業・・。もちろん必要なことだろうとも思いながら、そうせざるを得ない、人間っていう生きものに、複雑な想いになる。

以下、尋ねた先、備忘録的に。
高田の「あすなろホーム」(授産施設)は、前回「星つむぎの村」でいった、朝日のあたる家でのイベントにきてくれた、ホームの利用者さんが、「うちにぜひきて」と言ってくださり、実現した。実にいい場所で、こんなにノリのいい大人投影ははじめて、というぐらい。彼らがつくっているケーキやお菓子を、終わったあとたくさんいただいて、それがまたすごくおいしかった。
その後の気仙沼の旭ヶ丘学園は2回目の訪問。40名ほどの子どもたち、すごい盛り上がりよう。ピエールは、ひたすらバルーンアートを100個ぐらいつくってた。
再び陸前高田、仮設住宅へ。ここも語り部メンバーのお友達がいる関係から、すでに3回目の訪問。以前中学生だった子が高校生になって男3人でまたきてくれている。仮設は、まだほとんどの家が埋まっていて、つまり、仮設から出られる人はまだほとんどいないという状態。
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話をしはじめると長いけど、去年、陸前高田の朝日のあたる家にておこなった「星空書簡」イベントにきてくれてた高校生、Kさん。そのときのレポートに彼女の手紙を掲載している。その彼女の手紙に触れたあと、聞かせたい音楽やら、覚さんの本やらいろいろ送った。それを彼女は確実に受け止め、その後、詩をさらに多く書くようになり、音楽の時間の課題である「作詞」で、「宇宙の森」という詞を書いて、県のなにがしかで入選したという。その彼女が、夜、仮設でのイベントに、友達をつれてきてくれた。イベント後、去年の彼女の状態と、そんなときの「星空書簡」の時間がどれほどに彼女に大きな穴を埋めることだったか、ということを語ってくれた。そのときだけでは時間が足りず、結局彼女は、翌日の私たちの南三陸の宿まできて、夜中に話をするということになったのだった。
伝えたいことがあって、伝えている。そういう仕事は、それを受け止めて、何かが変わっていく人があってはじめて意味をなす。彼女は、宇宙の研究をしようとするでもなく、また作詞家や詩人を目指しているわけではない。でも、確実に、宇宙という概念と音楽や詩(詞)が、人を支えていくであろうことを、彼女のあり様が語ってくれている。そうやって、覚さんの仕事も、私の仕事も、背中を押されていく。
彼女の書いた詞に、今度は覚さんが曲をつけ、次に高田にいくときに披露できそう。

翌日、高田の朝日のあたる家、南三陸の平成の森、石巻北上小近くの仮設住宅・・ちょっとそれぞれに距離がありすぎ・・それぞれの場所で人がちゃんと集うだけの時間的な余裕をつくらないといけないな、という反省あり。
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施設とか保育所じゃないところで、親子連れが集まるイベント的な扱いの場において気になったこと。プラネの中で、落ち着いて座って話が聞けない、ずっと歩き回っちゃったり、下手すると吹き出し口の穴にはいっちゃったり・・多少のことは全然オッケーで、にぎやかぐらいがいいのだけれど、なんというか、そういうにぎやかさと別のもののように感じるところが多かった。子どもたちもストレスがたまっているんだろうなあ、そもそも親もストレスがたまっているんだし。今回、そういう印象を、一緒にいった仲間もみんな感じ、4年という時間の重さをあらためて思う。
あのとき中1だった彼らは、もう高2。 小1だった子は、小5。それぞれの大事な育ちの時期を、あの状態とずっとつきあってきた人たち、そして子ども。
あらためて被災地じゃないところに住む人々がやるべきことはなんだろうか、何ができるんだろうか、と、ちょっと簡単に答えがでない問いをぐるぐるとしている。

石巻の北上小近くの仮設の集会所、ここも語り部メンバーつながりの校長先生からのご紹介で。その校長先生の奥さまも、また、前週の「つなぐ人フォーラム」に、なんとほとんど知り合いもいないのに、ネットでフォーラムのことを知り、単身参加していらした石巻の訪問診療をやっている女医さん、彼女と話をし、今回のイベントのことをお知らせしたら、友達を連れてわざわざきてくださった。そのお友達が、後日くださったはがき。 ありがたい。
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その夜は、南三陸のさんさん商店街でご飯を食べるつもりで、戻ってきたら・・
22時まであいているという情報の店が2件あったがどちらも閉まっていて。
みんなでこまったなーというとき、まだ明かりのついて(のれんはもう終われて)
た、お店のマスターが、「つくっちゃいますよ」と。ボリュームたっぷりの
焼きそばとラーメン。
28歳の元気なマスター。おばあちゃんが南三陸で店をやっていて、それを継ごうと
東京からやってきたあとに、震災にあう。「以前よりずっとお客さんがきてくれて嬉しいっすよ」
彼のような「風」から「土」になる存在、きっと今の東北ですごい大事だと思う。

最終日は、志津川保育所へ。子どもたち90名、楽しいことは一つでも多く。彼らの心のどこかに、星空が残っていてくれると嬉しいなあ。

今回の旅に、テレビ山梨のクルーが同行し取材してくれた。放送は3月11日。

★共同通信連載
「宙を見あげていのちを想う」10回連載。山梨での掲載に続いて、連絡がはいったのは下野新聞(栃木)、神戸新聞、新潟日報。
神戸は、一番載せてほしいところの筆頭でもあったので、すごくうれしい。

★子どもたち
1月も熱に悩まされたのに、またもや!というだけでおさまらない、みなみが1週間の高熱(扁桃腺炎)・・という事態があったり、でも学校の2分の1成人式やら、友達との「2分の1成人式」撮影会があったり、こちらの出張のとき、みなみが夜中3時まで寝られずに苦しんでいたり(その後の高熱はこれのせいかも)、それでも、後半2回の週末はほとんど不在にて、どうやって乗り越えたものか・・と思っていたのだが。3回分の「プレゼント」と手紙を用意して、毎朝あけるようにしていったら、それが大ウケ。絶対寝るぞ!状態をつくっていたのであった。
兄の蒼太の入試は、私が東北からかえってきた3日後。まったく受験生の親とは思えないこの状態・・しかし、本人は、そういったことに文句言うこともなく、妹のさまざまな感情起伏を目の前にしながら、そして、受験を控えながら、さほどイライラを見せず、いたって平常心で過ごしているように見える。たいしたもんだなあ、と感心する。

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by malicosmos_meme | 2015-03-08 23:33

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