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Malicosmos ―高橋真理子の小宇宙

malicosmos.exblog.jp

「つなぐ」「つくる」「つたえる」「とどける」 これが自分の仕事のキーワード

終わりははじまり‐3月振り返り

19年前、知り合いの誰もいない山梨にきた。大学院で博士論文を書くことなく逃げてきた私は、その後の仕事人生を生きるためには、ここに足をしっかりつけて自分の仕事をすること、それは何が何でもやらねばならないことだった。就職とともに入籍、しかも相手が仙台にいるという27歳女子が、この保守王国山梨で生き延びていくとは、当時、採用にあたった方々も思っていなかったことなのではと思う。「せめて3年はいなさいよ」と言われたりもした。逆によくぞ採っていただいたな、と。
あそこで、採用されていなかったら・・・今、いったいどこでどんな人生を送っていたというのだろう。

3年前に山梨県立科学館の正規職員をやめ、非常勤のポスト(天文アドバイザー)をつくってもらい、当初はもう少し長くいるかな、と思っていたのだけれど、この1年でどうにもこれ以上いるのはいたたまれない状況になってしまったというのが正直なところ。けれども、そういった状況は何か新しいものへのエネルギーに変換されていくもので、結果、「星つむぎの村」の新生立ち上げを加速することにもなった。
そして、山梨県立科学館でやってきたさまざまなことの多くは、ある人には人生が変わるほどの、ある人にはその人の働きを変えるほどの、ある人には日常の小さなアクションを生みだすほどの、ある人にはそのときどきの気づきを・・とすべては、誰かの何かに変換されたものになっており、その結果として、山梨がすっかり私のかけがえのない場所になったという事実は誰にも奪えるものでもなかった。自分が積み上げてきたつもりだった山梨県立科学館プラネタリウムというアイデンティティは、けっこうあっさり崩れ去ってしまったかもしれないけれど。でも、そこで考えたことごと、生まれた作品、身に着けたさまざまな方法論、これはまだまだ生きているようにしたいし、きちんとしかるべき人に届けたい。そして、それはきちんと願うことでわずかにでも実現していくのだろう、と確信する。

〇これまでつくってきた番組一覧  こちら
 番組制作で大事にしてきたことは、山梨の人たちを巻き込むことで山梨の誇りをつくること、見ている人の経験をひっぱりだして提示するものとつなぐこと、
 プラネタリウムは想像と創造の場であること、後世に残すべきものを物語として残すことなど。
〇さまざまな仕事の背景にいつもあった生きがいの泉
〇あとにも先にもおそらく他にない一大プロジェクト
 星つむぎの歌  その経緯はこちら
〇比較的コンパクトに特徴的な仕事のエッセンスをまとめたもの
 高橋真理子 「人々が関わり続けるプラネタリウム」博物館研究(日本博物館協会)、8月号、2012 こちらから


この3月、まさしく「終わりははじまり」ということがいろいろと交錯。
21日に行った、館での最終投影のときには、なんだかたくさんの人たちが花束をもって駆けつけてくれ、しかも、そこで
サプライズの動画のプレゼント。


あなたが届けてくれた宇宙のすべてが

この場所につながっている。

あなたが紡ごうとする物語のすべては

この場所につながっている。

今ごろのツバメは

星の道を頼りにして、海の上を渡っているだろか。

ツバメも、わたしも、あなたも、

星を見上げて、いのちに思いを馳せる。

それぞれの、この場所から、おなじ宇宙で。


(彼女と一緒に仕事するにはどうしたらいいだろうかと考えたことが

病院プラネをやりだす大きなきっかけだったことは間違いがない。

もう15年前のこと。)


1998年の開館してすぐの夏休み。「質問コーナー」という箱を設置していて、そこに子どもたちがたくさん質問を入れ、それにせっせと回答しては張り出すということをやっていた。回答をみに、再び子どもたちがきてくれるだろう、という願いのもとに。その中に、「こたえを見にこられないので、送ってください」と東京の住所が書かれているものがあった。小4の絵里ちゃんとお姉さんの樹里ちゃん。それに手紙を書いて返答したのが最初で、そこから濃い文通がはじまった。毎回、質問が増えて、その質問が難しくなっていく。どうやら家族ぐるみで質問を考えていたらしい(笑)。そしてその姉妹は、私からの手紙をすべてファイルし、保存してあってそのファイル名が「宇宙の教科書」! この日、絵里ちゃんが、それを携えてきてくれた。そして、今や、宇宙好きのデザイナーとして、「病院がプラネタリウム」のクラウドファンディングのリターンの一つ、星空Tシャツをつくってくれている。なんて素敵なんだろうと思う。

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★星つむぎの村スタート

そうやって、19年におよぶさまざまな仕事から生まれた何かを抱えて、今がある。

科学館のプラネタリウムで2004年から、「表現・創造・交流」をキーワードに活動してきた「星の語り部」。星つむぎの歌、さまざまなプラネ番組、ユニバーサルデザイン活動など、大きな企画の原点はすべて語り部にあった。そこから生まれてきたものの大きさは計り知れない。そこに関わってきた人々は、ずっと関わっている人もいれば、ゆるやかにつながっていたり、ゆるやかに離れていったり、もちろんこの12年のうちで、いろいろな出入りがあった。大事にしたいことは変わらず、それは、今自分の仕事でやっていることとほぼ同じものばかり。

その「星の語り部」と、2011年ぐらいから、「星つむぎの歌」に関わったメンバーたちで立ち上げていた「星つむぎの村」を合体する形で、新生・星つむぎの村をあらためてチーム化。ウェブサイトもあらたに。

http://hoshitsumugi.main.jp/web/


そのキックオフイベントにもなるイベントを3月12日に開催。

「きょうを守る上映会&星空コンサートー被災地は今」

「星つむぎの村」をあらためてやろうと思ったのは震災があったことも大きく影響していたし、また、村としてこれまでも陸前高田に年2回のペースでイベントを開催してきたり、「星の語り部」としても、だいぶ通ったことになる。

3月11日が5年目を迎えるのとともに、震災のことを思いだし、忘れないようにということ、私たちの活動も知っていただき、また今後につなげられるようにということ、そんな想いでの企画。100名近い方が集まってくれた。

当時、県立大2年生だった菅野結花さんのつくった映画「きょうを守る」の上映、現在の被災地からのメッセージ、私たちの活動の紹介、そして覚和歌子&丸尾めぐみのコンサート。来ていただいた方々、みなさん大変感じ入り、あらたなことを胸にしながら帰っていた抱いた様子がとてもよくわかった。

こちらにレポートをアップ。

スタッフも総勢30名ほど。新生・星つむぎの村のキックオフイベントとして、とても意義深い1日でもあった。

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今年のこのタイミング(ほんとによし、と思ったときに、誰かがいつも手を差し伸べてくださる。ありがたいめぐりあわせによって、常に生きている)で、八ヶ岳とのご縁がぐっと増え、八ヶ岳山麓にある泉郷の中に、村拠点の一つになる場をいただけた。

3月6日には、合宿をおこない、そこに「ダレデモドーム」をたて、3月20日には、星の郷プロジェクト第一弾としてのイベントを。

それらもこちらにアップしてある。

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星つむぎの村は、「星を介して、人と人をつなぎ、ともに幸せをつくる」がミッション。すべての人々に星空を見上げる素敵さがしみとおっていくように願いながら、人々に寄り添うために出向き、そして受け入れられる場になりたい。


★都留高校

病院がプラネタリウムの一番最初のきっかけをくださった山梨大の犬飼先生。彼が出身校である都留高で講演をし、その後、私の活動のクラウドファンディングを高校にお知らせくださったご縁で・・・高校生たちが地域活性の活動の一環として、行ったお祭りでの売り上げの一部を、病院がプラネに寄付してくださるという素晴らしいお知らせ。そして、高校生たちが行っているさまざまな課題研究の発表会の審査員として呼ばれ、きらきらする高校生たちに逢うことができた。とてもよかったのは、自分たちの興味のあることを、社会的課題につなげて実践していたこと。

講評の時間は数分だったけれども、そこで、仕事とは自分がほっておけないことと社会のニーズの接点にある。自分が好きと思えること、他者を信頼できること、そして何かに貢献できること・・つなぐ人で教えてもらったアドラーの幸福の条件の話をさせてもらう。

またあらたなおつきあいの一歩になるといいなあ。


★福岡行き

高校にいった夜、なんだか喉の違和感・・。う、まずいと思って寝てから4時間後には明らかに腫れている状況。まずいまずいと思って起き上がってあたふたする。あたふたするより寝ていたほうがいいのだが。福岡行き前の3日ほど、ほんとうに緊張する日だったのだけれど、お医者にもらった薬が効いてくれ、大事にいたらず、めでたく福岡へ。

NPO法人こども文化コミュニティつながりでいただいたお話。福岡市少年科学文化会館の閉館イベントとして、800人ホールでのSpace Fantasy LIVE. 1100人もの応募があったということで、それだけ科学文化会館が人々に愛されてきた場所ということがわかる。そんな記念すべきイベント、音楽とのコラボレーションというところをもっと何かやりたい、お客さんの参加度をもっとあげたい、福岡の昔と今をつなげて・・というようなことをあれこれ考えつつ、いくつかの新しいチャレンジを。自分的チャレンジの一番はボディーパーカッション(笑)。

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そして、永い間ご無沙汰してしまった大学時代の後輩(今は星に・・いや、大好きな魚になった彼)のお母さん、その後輩より1年下の後輩、大阪の心友、13年ぶりに逢う絵描きさん、プラネタリウム仲間、星つむぎの村メンバーもろもろ、福岡という地にあって、こんなにも知り合いにきてくれることの幸せもかみしめつつ。NPO法人こども文化コミュニティの高宮さんとの出会いは2009年。それからいろんな場面で、同じ感性や同じビジョンの中でおつきあいできたこと、ほんとうに感謝。

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翌日は福岡市立こども病院でのプラネ。移転して新しくなった素晴らしい環境の病院。ドームからでていくときの子どもたちの楽しい顔。

その様子は当日のNHKニュースでも報道された。


★日能研の合宿にて

福岡からひとり飛行機にのって、移動プラネを全部飛行機にのせて帰ったのは、さらにその翌日に佐久でプラネタリウムをやったから。

つなぐ人フォーラムつながりのお仕事は、心底嬉しい。日能研、ただの塾では全然ない。 新6年生の合宿は、すべてギリシャ時代のリベラルアーツを基本として行われる。そして「論理」をテーマに、吸収して、書いて、議論して、ということを繰り返す。「宇宙」の時間に呼んでいただき、ドームの中で40分、その後、自分たちが知りたいことをあげるのに30分、それらをうけてまたドームで1時間ほど。長時間、子どもたちの集中はきれず。なんだかんだいって、一番意見がわかれて面白かったのは北極の夏至と春分の太陽のめぐり。視点を変える、それで考える、それを一生懸命やった。

「社員研修にも使いたい!」と代表の高木さん。 

宇宙とともに仕事ができることがまたあらためて嬉しい。


★いろいろ

3月のはじめは、娘のインフルエンザとともに。2月に高校生の息子も1週間かなり重症のインフルエンザになり、その間、必死で隔離していたのに、あっさりと学校でうつされ・・。やっと学校に復帰できると思いきや、学校に行きたくない・・日がしばし続いたり。この先どうやって反省しながら子どもと向き合うかもあれこれ考えつつも、やっぱり仕事は大事、となんとか毎週末にあったイベントとそれ以外のさまざまな仕事を乗り切り、大切な人々にたくさん会うことができたこの3月。

春休みには、娘はやっぱり大好きなお友達を呼んでお泊り会もできて、6年生は「完璧に」がんばろうと思えたようで。

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毎日、いろんな人生と交差する。共感もあれば、反発もある。交差すればするほど、自分の立ち位置を確認しながら、今、ここにある実感を得る。
生きててよかったな、と思う春。








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by malicosmos_meme | 2016-04-06 17:31 | Comments(0)