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Malicosmos ―高橋真理子の小宇宙

malicosmos.exblog.jp

「つなぐ」「つくる」「つたえる」「とどける」 これが自分の仕事のキーワード

人はなぜ星をみあげるのか

同じようなタイトルで、寮美千子さんの掲示板で話題にのぼっていたことがあった
http://www.ryomichico.net/bbs/lumi0035.html#lumi20031006152633

寮さんの小説や詩にはここそこにその精神が流れていて、一つの解を与えてくれている。
この掲示板の時期よりもおそらくもっと前に、寮さんと他の人々と一緒に、下北沢で飲みながらこんな話をしたこともあったな、とふと思い出す。 

おそらく私自身のプラネタリウムにおける仕事もそれを問うてきているのかもしれない。 番組を制作したり、プラネで解説をする中で、「われわれはどこからきてどこへむかってゆくのか」「この地上とあちらの世界を結ぶ星」「神話と科学の接点」「生命の根源としての宇宙」「眼に見えないもの」「遠くから地球と自分を見る視点」「時空を超えて人と人を結ぶ星」・・・といったようなことがテーマとしていつも頭の中にあったように思う。

今回のベガ番組のことについて、新聞記事で記者が私の言葉を「想像力を働かせば、戦争は自分の大切なものや人の命を奪うものだと気づく。その想像力を助けてくれるのは、時を超えて輝く星しかない」と表現していたり、番組のことを取り上げているコラムの中では「時空を超え、星は人間の喜びや悲しみを見続けてきた。・・・今日も世界のさまざまな地で、さまざまな思いを抱きながら星空を見上げる人がいる。」と表現されていたり、また、まだお会いしていない方より「殺伐とした今日の社会状況の中にあって、人間はどんな存在なのか、どんな生き方をすべきなのかなど、宇宙や地球そして人間について、プラネタリウムは、銀河の中で考えるひと時を与えてくれます。」という文章をいただいたり・・。
今回の番組をきっかけに、自身が発する言葉ではないところで、そうそうそれをやりたいと思っていたんです、ということを他の人がいろいろに表現してくださることに驚いた。

また、追ってきちんと報告したいのだけれど、今年の1~3月に行ったプラネタリウム・ワークショップにおいては、特に通常星やら天文やらにさして知識をもたない一般の参加者のみなさんが、星空の中で、自分の中にある星への思いをプラネタリウムの中でとうとうと語り始める、という状況があって、星空の中で各自の心が開放され、お互いの心が交じり合って行くというプロセスを目の当たりにした。 そして誰もが、それぞれの中に自分と星とのつながり、というのを持ち、それがほとんどの場合、星を介して誰かへの思いに繋がっているということも知った。こういったことを通して、「星を見る」という行為が、ほんとは人間のかなり本質の部分で非常に重要なことをなしている、役割がある、そうせずにはいられないものなんである・・ということに気づきはじめている。

こういった仕事をつぶさに見守ってきてくれている大切な友人が、「われわれが星を見上げる理由・・高橋真理子の仕事のすべては、この問いへの答えなのだね」と言ってくれた。 そうやって自分のなすものに応えてくれる人たちがいて、それによって自分を引き出してくれる人がいるということは、なんとありがたいことだろう。
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by malicosmos_meme | 2006-04-20 05:04 | Comments(4)
Commented by 寮美千子 at 2006-06-12 10:21 x
先日、山梨県立科学館にお伺いして「星の語り部」の方々にお目にかか
りました。その時「ああ、プラネタリウムっていうのは、宇宙の暗闇に
浮かんでみんなと手をつなぎ、光る銀河や星々を眺めることなんだ」と
感じました。暗闇に浮かぶ星は、遠方の天体であると同時に、そこに集
う人々の心の宇宙に輝く記憶。小さな悲しい思い出だったり、忘れられ
ない人のことや、人生のなかでまばゆく輝く美しい一瞬。それを共有で
きる「場」が、プラネタリウムだと感じたのです。
Commented by 寮美千子 at 2006-06-12 10:21 x
古来、日本には「座の文芸」があります。連句や句会、歌会などがそれ。
そこに集うことで、一人ではなしえない何かが生まれてくる。プラネタ
リウムとは、まさに現代社会におけるひとつの「座」。単に番組を見る、
というだけではない「星の語り部」の方々の活動。プラネタリウムの暗
闇で互いが互いの心を語り合うことで、ひとつの「座」が生まれ、そこ
から新たな何かが立ち上がってくるのを感じました。

そういえば「一期一会」を大切にするお茶会。お茶室もひとつの「宇宙」
だといいます。そこで、この宇宙のなかで二度と戻ることのないひとつ
の時を共有するのがお茶会。プラネタリムは、現代のお茶室でもあるの
かもしれません。

温故知新。古の知恵と最新の技術の融合により、人間にとってほんとう
に大切ななにかが、いま、プラネタリウムで再生されているんですね!
Commented by 寮美千子 at 2006-06-12 10:22 x
その「場」や「座」のキーを握るのは、その中心となる人物。連句なら
「捌き」、お茶会なら「主人」です。その人がどんなイメージを持って
その会を主催するかで、すべてが変わってきます。プラネタリウムとい
う箱は、それだけではただの機械仕掛けの箱。それをどう使うかという
のは、使う人間次第。真理子さんを中心として、いま、山梨科学館に、
人と人をつなぐ文化が育っていること、ほんとうに頼もしく思います。
短い時間でしたが、その人の輪のなかにいたあの心地よさ、忘れられま
せん。また、ぜひお伺いしたいと思っています。真理子さん、みなさん、
がんばってください!
Commented by malicosmos_meme at 2006-07-08 02:39
もうなんだかだーいぶ前にコメントいただいたのに、そのままになってました。 寮さんが「座」と表現してくださった「星の語り部」が今、寮さんの作品「星兎」を、プラネタリウムで表現しようとがんばっています。 そこに込められるものは、おそらく、語り部メンバー一人一人が星兎に投影した自身の姿・・・なのかな、と思います。 
7月22日から公開!