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Malicosmos ―高橋真理子の小宇宙

malicosmos.exblog.jp

「つなぐ」「つくる」「つたえる」「とどける」 これが自分の仕事のキーワード

地球は容赦なくまわる~12月振り返り

12月は1年の最後の月。 北半球ではもっとも夜が長く、その暗闇の底から
再び光がはじまる月。 生まれ変わるのに、もってこいの月。

〇札幌、さっぽろ、サッポロ
何年ぶりの札幌。 いつだったか・・大学在学中の帰省後に東京から飛んだときだったか、
あるいは大学院にいってから、のことだったか忘れてしまったのだけど、とんでもなく
美しい夕暮れを飛行機の中からみたことがあって、それを手の中に残しておけない哀しさを
すごく感じて、だから夕暮れは美しいのかな、と思ったことがある。
それをどこかに書き留めたことも覚えているけど、どこにいったかな。
今回みたのは、それにも勝るほどの・・美しさだった。 12月、太陽がゆるやかに地平線に対してころがる
ように落ちていくので、夕暮れ時間が長いのに加え、飛行機の高度からみる夕焼けは、まるで
地球と宇宙の境界をみるかのようで、紅から深い群青色におちていくその間の無限の色を
おりなす。そこに富士山も浮かび上がる。

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内藤いづみさんの会にいらしていた高橋洋子さんが呼んでくださったイベント。
自宅を開放して、「ばらのおうち文庫」をやっておられる。 家にはものすごいたくさんの絵本があって
それを取り巻いて、子育て中のお母さんたちも、それ以外の人たちも、ほっと息をつく場をつくられている。
この夏に、ここでワークショップをやられた写真家の小寺さん。 星野道夫特集のテレビに出たことが
あるつながりで、一度、八ヶ岳でお会いした。 その小寺さんも、帯広からわざわざきてくださった。
そして、北大サイクリングクラブの先輩と後輩夫婦が、おちびさんを連れて。
懐かしい場所で、懐かしい人々にあえる、それは新しい土地で、新しく人に出逢えるのと
同じくらいかそれ以上に嬉しい。
1時間ぐらいのお話のあとには、洋子さんやいつも一緒にやってくれるのよ、というみなさんの
手料理のおもてなし。 人々がゆるやかに集まってくる場として、アルリ舎の理想の一つで
あった。 
そこで、ふとみつけたRさんの絵本数冊。 おーさもありなん、と思って、知り合いである旨
話をしたら、ずっと会いたいと思っていた、呼びたいと思っていた!と。 その後、さっそく
「つなぐ」ことに。また来年に、いろんなことがおきそう。

〇朝日のあたる家 ・ 陸前高田
札幌の翌週は、陸前高田へ「星つむぎの村」としてはじめての遠征。
「星つむぎの村」の中で、震災の夜の星空に関するエピソードを共有する中で、
覚和歌子・丸尾めぐみ「ほしぞらとてのひらと」がうまれる
→ 
陸前高田出身で、山梨県立大生(当時)である菅野結花さんが震災ドキュメンタリー
映画をつくるということを知り、エールを送った当方が「ほしぞらとてのひらと」の
youtubeをおしらせしたことがきっかけで、映画の主題歌となる。

映画上映+覚丸リーディングライブ、という機会も多くえるなかで、アメリカの
大学でも上映され、そこで、「ほして」の合唱という動きまでおきる。

そのつながりから、覚さんが陸前高田に行ったときに、出会ったSさんが
なんと私の友人の知り合いで、電話でお話したことがあるという関係で
いきなり、山梨の高橋・・という名前がでてきて、覚さんが仰天する。

Sさんが山梨を訪問してくださり、星空の持つ力を実感してくださり、
きっと陸前高田にプログラムとしてもってきたい、と言ってくださる。

何度かディスカッションを重ねて、陸前高田の「朝日のあたる家」での
星空イベントが決定される

・・・とこれとは別に、覚さんには、猛烈(としかいいようのない)な
陸前高田の引力もあり、そんなこんなで、「星つむぎの村」として
そこにいけたことは、ある意味、必然でもあり、奇跡でもあり。

「朝日のあたる家」は、地域のコミュニティハウスの役割をし、優しい
木のぬくもりがたっぷりの素晴らしい場所。 もちろん高齢者もだけれど
高校生がここが一番落ち着くといって、勉強しにきている姿はこれまた
なんとも素晴らしい、というのか。
そこに50~60名ほどの方々が集まり、1時間、私の星の話、その後
1時間弱、覚丸リーディングライブ。そして、暖かなお食事を楽しんだのちに
観望会。
その中に含まれる、「震災の夜の星空エピソード」、「星つむぎの歌」絵本の
お話、「ほしぞらとてのひらと」の歌そのもの。。。 それらを現場のみなさんが
どう受け止められるのだろうか、というのが、一番気にするポイントでも
あったのだけれど、Sさんや、朝日のあたる家のお母さん役をされているYさんの
力強い言葉もあり、私たちはいつもどおりにやらせてもらったのだろうと思う。
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参加者のみなさんがおおよそ帰られたのち、スタッフのみなさんとあらためて
お話をさせてもらった際に、「これほどまでに哀しみにもむきあいつつ
でもそのわき出てくるものを隠す必要もなく暖かな大いなるものにつつまれたこんな
イベントは初めて」といっていただいた。 
これこそ、私たちが、そうできるといいなあ、と思っていたことごとなのだろうと
思うし、かつ、これで終わりじゃなくて、ほんとにはじまりなんだ、
彼ら自身が「ようやく、何かを語り始めた」と言う、そのときに、もし寄り添えるなら、
星空がありがたいのは、この先、10年、20年、30年、彼らが生きている間
そこにずっとあるということ。 そして上を見上げることさえすれば、そこに
いつでもある、ということ。

翌朝、ラブジョイ彗星をみるべく、5時におきて、双眼鏡や望遠鏡でその姿を
確認。 空が美しいので、このままではもったいない、と、海と朝日が見える
場所へ。 星ぼしが、ゆっくりと蒼にとけていき、何重にもかさなるグラデーション
とともに光がでてくるさまほど、生命にいのちを吹き込むものはないかもしれない。
前日の私のプラネタリウムをみて、Yさんが、「あー朝日よ、のぼらないで!」と
思った、とおっしゃっていて、「朝日のあたらない家」だね、と笑いあっていたの
だけど。 朝日がかくも美しく、ゆるやかにやってくるというのは、ほんとうに
救いなのだなあ、と。
3月11日の満天の星空と、翌日の海の青さの話をしてくださった大船渡の
方のお話を思い出しながら、光いっぱいあびた朝だった。

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〇プラネタリウム番組「戦場に輝くベガ~約束の星を見上げて」 制作
自分が一度、科学館の職をおりて、あらたな道を進むときに、あらためてやりたいと
思っていたこと、それはこれまでつくった番組を中心に、仕事をちゃんとまとめておきたい、
そしてまだまだ、届けるべき人に届けるようなことをしたい、ということ。
今回は、館側の理解あって、ほんとに完全リメイク版というスタイルをとらせてもらえた
ことに深く感謝しつつ。
結局「まとめる」作業は、遅々として進んでいないけれど、(ウェブサイトの番組
一覧も結局手付かずのままー) この番組をあらためて世に出せるのは、とても
ありがたい。

音楽はやっぱり小林真人。「約束の星」というエンディングのテーマ曲は、このベガが
語るメッセージが全部はいっているような5分間。 山梨学院中の合唱部、そして
真人さんの出身校(部)である、日川高校吹奏楽部のみなさんの声がひびく。
これはねーたまらん。


「男と女」「加害と被害」「今と当時」これらをすべて引き裂くのが戦争、すべてつなぐのが星
というテーマ。 星を命づなにしてきた人々の歴史。 深い哀しみの時代。
実に多くの深い要素がたくさん含まれているため、 「戦場に輝くベガ」は、番組は
もちろんのこと、もっといろいろなスタイルで、リアリティをもって伝えていくべき要素が
たくさんあるんだろう、と、あらためて思う。

戦場に輝くベガは、山梨県立科学館で1月18日から。
http://www.kagakukan.pref.yamanashi.jp/web/event.php?id=1383

2006年以降のことについて、こちらに。
http://alricha.net/index.php?program#program12


〇佐治先生と桜井先生と
日芸の講義を受け持つことが決まり、日芸関係者が超たくさんあつまる会で、木村先生に
紹介してもらったのが、サイエンスナビゲーターの桜井進氏。 そこで出会って1週間後には
桜井さんの講演を聞きにいき、その数ヵ月後には、一緒に番組をつくらせてもらう段取りに。
MUSICA~宇宙はなぜ美しい? の一番最初の企画(そのときの仮タイトルは、宇宙とは
何か、だった) を考えていたのは、桜井先生に会う前だったのに、おそろしく絶妙な
タイミングで出逢えたことになる。 
宇宙を音楽で読み解くという視点では、佐治さんには必ず関わっていただこうと思い、
桜井先生と佐治先生を監修にお願いすることにして、そのことで、桜井先生は「憧れの」
佐治先生とご一緒することを、とても喜んでくれた。 そのご縁が、去年、ダライラマとの
対談に佐治さんはもちろんこと、桜井さんも登場することに結びつく。
日芸の講義は、私が3限目、桜井さんが4限目、と続いていることもあり、佐治さんの
特別講義を、2限ぶちぬきでやることを提案。 
数学やアートがもつ根源性。 どちらも、人々がこの宇宙から、その意味をさがしだす
作業としての、数学とアート。さまざまな具体例をあげて、それが語られてゆく
超ぜいたくな講義。
このありがたさが、学生にはわかるのかなーと不安抱えつつも、当事者たちが
何よりも楽しかったので、きっとよかったんだろう(笑)。

〇Space Fantasy Live 小学校、幼稚園
以前からお世話になっている人に、公演で呼んでいただけるのは、すごく嬉しい。
誰かにつないでもらって、呼んでいただけるのもすごく嬉しい。 
ひょんなことで、私を見つけ出して、声をかけていただけるのもすごく嬉しい。
12月は、韮崎北東小と、所沢中央文化幼稚園へ。 
小学校バージョンも、幼稚園バージョンも、どんどん進化中。
小学校では、またもや、最初に盛り上がりすぎ、興奮状態が続いて、最後まで
子ども達のテンションが高かったことを、先生たちは、気にされていたけれど、
やはり感想をみると、ちゃんと受けとめるべきところを受け止めてくれていることが
わかった、と先生もおっしゃっていて、何より嬉しい。
所沢の幼稚園の学園長さんは、子ども達の感性を引き出すことだったら、
どんなことでもやる、というぐらいの意志をもって進まれている方。
子ども達、みてるかなー星。

〇多摩六都科学館
今年、多摩六都科学館で、この先10年の基本計画をたてていくその委員会の
委員をやらせてもらっていた。 
でも、市場調査もして、来館者への聞き取りなどのデータを下にしながら、
また、ワークショップで、ボランティア、職員、委員がまざりあいながら、
自分たちのめざす科学館像を議論できるその場は、素晴らしいな、と思う。
うらやましい。 ある意味、自分が山梨の館で必死でやろうと思って、志半ばで
そのままになってしまったことの一つでもあるから。
結果、この委員会でも、自身はあまりたいしたことはできなかったけれど、
地域を巻き込んでいくそのプロセス、ぜひとも、今後も注目していきたい。

〇アルリ舎冬至まつり
アルリ舎で、できれば月1回、最低季節に1回、星と音楽と食がせっとになった
会をやりたいな、と思っている。 これも、もちろん、独立してからやろうと思っていた
ことごとの一つ。 実際には、他のことごとが忙しすぎて、なかなか自分で
たてる企画までいかないのが、現状なのだけど。 
でも、振り返ると、なんとなく春、夏、冬に1回ずつやったんだな。
アルリ舎に程近い、金生遺跡は、冬至の日に、甲斐駒に夕日が沈む場所、で
有名。
当日は、これでもか!というぐらいの快晴で、夕日はもちろんのこと
(しかし、甲斐駒の高度が高すぎて、太陽はまだとてもまぶしく、これを
ちゃんとみるには、日食グラスが必要、ということがわかった)
それをおいかける金星が美しい三日月形をしているのも、そして真っ赤に
そまる富士山や金峰山や八ヶ岳を、その場所で堪能したのち、
アルリ舎に移動して、私の話とギターの小林孝一の歌を一緒に楽しんで
もらい、その後は、もう天の川が見える満天の星。
食べ物研究家の桂子さんによる、冬至のスペシャル料理の数々。
火球ほどの、大きな流れ星。 そして、月の出。
完璧すぎる! ほどに、すべてがそろった超ぜいたくな時間を、はじめて
会うかたとも、旧知の方ともシェアできたこと。 
桂子さんが、心つくしてやってくれこと、ほんとにありがたかったなあ、と。
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12月、家にいられる日がほとんど1日もないぐらいで、そのまま、わーわー
年賀状~と思いながら、結局「ご挨拶はがき」が出せていないエクスキューズや
今年呼んでいただけた人たちに対して・・とやってて、550枚ほどの年賀状を
出した。 
下記は、「私の」でも「うちの」でもない、みなみの年賀状。
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そんなことをやっているうちに、もうこの最後にいきつけたのが1月も10日。
地球は容赦なくまわり続ける!
たまに止まってくれると嬉しいなあと思わないでもないのだが。
でも止まると、あの夕日、朝日、星空のあの美しさは、すべて、この地球の回転から
と思えば、やっぱり、その容赦ない、そして有限な時間の中で、ここに「ある」ことが
認識される。 
だからこそ、今年も、今日も、また生きる。

2013年、お世話になったみなさま、ありがとうございました。 また2014年も
よろしくお願いします。
by malicosmos_meme | 2014-01-10 05:58

by malicosmos_meme