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Malicosmos ―高橋真理子の小宇宙

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「つなぐ」「つくる」「つたえる」「とどける」 これが自分の仕事のキーワード

体は資本―3月振り返り

せっかく2月末に一念発起して、ブログを再開したので、できる限り、備忘録残しをしていこうと・・思ったがすでに折れそう。
2016年度のまとめに変えて・・というつもりの前回だったが、全然収まりきってない3月だった。
2016年度、大学講義も含め、講演、公演・イベントに費やした日数は156日、講演や投影回数にするとおよそ400回。たくさん動き、
たくさんの方に出会って、気づき、毎日がドラマ。

3月は週末ごとに、八ヶ岳、東京、愛知、大阪、東京、山梨、長野、東京、兵庫という予定が入り、それ以外にもプラネタリウム番組を収めるという仕事もあったり、もちろん確定申告もあったり、娘の小学校卒業もあり、怒濤の2016年の締めくくりに激し過ぎる月であった。そしてそして、めっったにひかない風邪をひき、こともあろうにこの仕事にして致命的な「声がでない」状況となってしまった反省の月でもあった。

★本があって
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 拙著「人はなぜ星をみあげるのか」の最初の企画段階のころ、編集者の方が、「名刺代わりの本は必要でしょう」と言ってくださった。出会ってもらった方に読んでいただけると、それまで話をしていたことがまた深く納得してもらったり、共感してもらったりができる。逆に、出逢いを生み出してくれもする。
 キープ協会での講演のとき、キープの職員の一人である伊澤さんが、オリジナル帯をつけた私の本を持ってきてくれた。彼女オリジナルで、ふれあいセンターに展示してくれているという。大感激。この帯できっと「八ヶ岳で」私を見つけてくれる人がいたらこんなにありがたいことはない。

2月の「つなぐ人フォーラム」のときに出会った奇二さんと、「星野道夫」というキーワードが出た瞬間に、本を差し出す。その出会いは、さらなる出会いを生み出し、奇二さんとその先生である濁川さんが、八ヶ岳まできてくださった。星野道夫の言葉を心理学アプローチで研究してしまった濁川先生。その論文は、今、ちょっとゆがんだ意味合いで社会に浸透してしまっている「スピリチュアリティ」という言葉をきちんと定義しながら、星野道夫の言葉がなぜここまで人々に求められるのか、という考察。新しい視点を与えてもらった。それだけじゃなくて、これからプラネタリウムを巡ってのおつきあいもとても楽しみ! 

本からというよりは、ウェブサイトから知ってくださった方が、講演を依頼してくださった。
私のウェブサイトを2時間ほど読み込んで、「今日は、60年生きてきて、5指に数えるような衝撃でした」と
メールをくださった。聞くと、彼女は人生あらゆるステージで、星を見上げてきた人で、そのことをご自身で
とてもよくわかっている方で。いつもそこに星があった、といろんな場面を教えてくださいました。
それをずっとしてきたにも関わらず、「こんなにも知らない世界があったことが衝撃」だったと。
そして、その後、本もあっという間に読んでくださった。あれだけ多くの星を見上げた思い出がある人だからこそ、
意味を掘り下げていくのに時間はかからない。

★「病児のおもちゃケア」
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3月5日に国立成育医療センターで開催された第12回公開セミナー 病院における遊びの環境を考える「病児の遊びとおもちゃケア」は、病児たちによりよい遊びをという想いで集まる方々の集まり。ボランティアスタッフが50名も! そして150名以上の参加者が集まる会だった。
 その中で、調講演させていただきました。病院がプラネタリウムの実践のお話ののちに、space fantasy liveの一人バージョン。講演に先立ち、病児たちのより楽しく豊かな生活のためにさまざまな方面からご尽力されている小児科医の二瓶健次先生が、当方の紹介をしてくださった。拙著「人はなぜ星を見上げるのか」をしっかり読んでくださり、経歴も。
 二瓶先生は、なんと20年以上前からVRを取り入れて、病室にいる子どもたちに動物園体験やらスキー体験やら、授業体験やらをいろいろ考え、そして実践されてきた方。驚きます。そして、当方の講演が終わったあと、「ぼくは動物園をつれてきたりして、病院の壁をぶちぬこうと思ってやっていたんだけど、高橋さんは天井をぶち抜いたんだね」ということや「人は、空と海とに特別な感情を持っている。それはやっぱりいのちの源泉がそこにあるからなんじゃないかなと思います。ある意味、DNAの記憶みたいなもんです。」
 加えて、当方が講演の中で、「いつかプラネタリウム療法という概念をつくりたい、という妄想・・」の話をしたのを受けて、「プラネタリウム療法、絶対やってください。昔、ぼくがやっているのをみて、たいていの人は、それで病院がなおるんですか、といった。新しいことをやろうとすると10%の人は賛同してくれ、30%はみてみぬふり、うまくいけばよかったじゃないか、というけど、失敗するとざまあみろ、という。そして60%は足をひっぱるんです。新しいことをやっていくのはそういうことへのチャレンジ。ぜひ、全国に広げられるように概念をつくってください」とおっしゃって、エンカレッジしてくださった。
 今回の参加者の方々は特に、日ごろから病児たちに触れ合う人たちばかりだったので、その感度が特に高く、「こんなに泣いたのはじめてです。泣かない女だったのに(笑)自分でもびっくり!」という方はじめ、すごいたくさんの感動の声をいただいた。
小児科医のお医者さまも、「自然と涙がでてきて自分でもびっくりしました。かつて、失ってしまった子どもたちの顔が星空の中に続々とでてきたのです。あの子たちに見せてあげたかったと強く思いました。」というメッセージをくださったり。
 次回につながることがたくさんあった、とても貴重な機会を、難病ネットさん、東京おもちゃ博物館のみなさん、ほんとにありがとうございます。

★Space Fantasy LIVE 豊田、大阪、尼崎
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 とよた科学体験館プラネタリウムでのSpace Fantasy LIVE. 河野さんはじめ若手スタッフのみなさんのがんばりや、音響さんのすばらしさや、愛知周辺にいる知人たちがたくさん訪ねてきてくれて、久々の嬉しい再会がイロイロ。別のプラネタリウムでがんばってます、という若い方も、丁寧にカバーをかけた当方の拙著をもって「星は人をつなぐってほんと素敵です」といって声をかけていただいたりと新しい出会いも。
 真人さんの音楽は、いつもプラネの投影でも一人バージョンでも使わせてもらっているけど、でもやっぱり生演奏は格別。こうやってライブができることをつくづく幸せに思う。感想の中に、「何度も感動して涙してしまいました。昨夏亡くなった父と会えた気がしました。」というものも。他にも「みんな星のかけらができているということを実感できる演出が素晴らしかった。高橋さんの語りもさることながら、小林さんの演奏も心に響くものでよかったです。」「今、ここに自分が生きているという意味を知らず知らずに分からせてくださった。」「自分という1人の生命から創大な広い広い宇宙へと誘われていった」「今見えているもの以外の存在に気づかせてくれる解説音楽で良かった」などなど。
 大阪と尼崎は、1月に私が出演していたラジオを聞いてくださった方が、直感的に呼びたい!という一心で実現した企画。電話をいただいたその後にたまたま大阪での講演があり、それを聞きにきてくださってそこから急激展開、な感じ。高齢者住宅での企画だけど、一般の方々へ開放された企画として、たくさんの方がいらしてくださった。なにより、そこのスタッフのみなさんが実に、一生懸命、明るく、気持ちのよいこと! またご縁がありますように。




★Under the Same sky project  
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 Under the same sky project ~心に満天の星空を 山梨と福島をつなぐ~。第一部に、映画「Life」をつくられた笠井千晶さん囲んでのトーク、第二部はメッセージコンサート。その日の前から展示室では多くのアーティストたちの作品展示も。
 笠井千晶さんは、映画をとろうと思って出向いているのではなく、津波で家族を失った福島の家族に出逢って、彼らに逢いにいくために100回も通っている。そして、十分に話をして、時折カメラを向ける。特に、幼い子ども2人を失ったお母さんにカメラを向けるのは、今でもドキドキする、と。トークの合間に紹介したショートムービーは、映画にでてくる上野さんご一家が、亡くなった子どもたちに見せるために、と花火をあげるそのシーン。最後に、空にむかってみんな笑ってください、と上野さんがお願いをする。
 トーク時間のインタビュアーになった律ちゃんが、映画の間、人がしゃべっている時間もいろいろ感じながら聞くのだけど、時折挿入される、海の風景や、空、菜の花畑・・そういう場面で、自分の感情がわっと湧き出てくる。その気持ちっていうのが、今回のこのイベントの気持ちに近いのかな、って。
 ほんとにそうだな、と思う。私たちは社会の中で、他者との関係性の中で生きるけれども、それだけじゃなくて、自分と空と大地をつらぬく、なんというか縦の関係、生命としての自分という立ち位置がきっと必要なんだよね、と。私たちがあそこからきてあそこにかえっていくという漠然とした感覚。それは必ず死を迎える生命にとってすごく自然に備わっている感覚なんだろう、と。
 そんなトークのあとのメッセージコンサート。「ストーリー性があったのがよかった」という感想が多く見受けられたし、もうめちゃくちゃよかった、と言ってくださる方も多数。りっちゃんの歌も素晴らしかったし、最後のあきさんの歌と子どもたちの声も素晴らしい。
 遠くをみながら想像力を失わず、そして、足元でしっかり生きていく。主催者の美保さんが、このイベントに込めているその想いを受け止めてくださった方がたくさんいらした。それにしても、美保さんたちの巻き込み力はすごい。美保さんと欽也さんが、山梨にきてくれて、こんなにたくさんの人たちがハッピーになっている。

 しかし・・この前日の品川でのイベント前に、声がでなくなり、ステージイベントというのに、かなりひどい声で出演するという、あってはならない状態で反省しきり。結局、声のダメ状態は2週間ほど続き、めったに風邪さえもひかないバカのいつぶり??ぐらいの状況であった。

★星の道を
 あいかわらず、星野道夫さんのおかげで人に出会う。「つなぐ人フォーラム」で、たまたまご飯で目の前にいた奇二さん。森林セラピーというキーワードにつづいて、私も研究したいって話のあとに、奇二さんの師匠は、星野道夫の言葉の研究をしてる!という話になり・・手元にあった拙著の星野さんとのツーショット写真をみせ・・しばし興奮続き。そして、その1か月後には、師匠の濁川先生を連れて、八ヶ岳まできてくださった。濁川先生は、星野道夫の言葉を集めて分析し、人々の精神性にとっての自然の立ち位置のことなどなどを考察して論文を出しておられた・・さらに、お会いして、ずっと前から「星つむぎの歌」の絵本を、学生のワークショップの際に使ってきたというのでさらにびっくり! そして、濁川さんや奇二さんとともに、いつか「プラネタリウム療法」という概念を、と思っていることが、何か一歩前に進める予感もあり、超ワクワクであった。
 去年、没後20年に際し、「なぜ今、星野道夫か」という言葉がなんどもでてきたけれど、濁川先生の論文は、それをとても腑に落ちる形で、まとめてくださっている。そして、やっぱり私たちは、人と人のつながりとともに、大いなる自然とのつながりを自身の中にどう位置付けていけるのか、っていうのは、すごく生き死にの問題に関わることなんだ、という想いをあらためて示してもらっているように思う。論文はこちら

★卒業
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3月はいろんな旅立ち。娘の小学校卒業式。元気に、笑顔で、幸せに満ちてこうやってこの日が迎えられるって、なんてありがたいこと。
親子活動での「卒業を祝う会」での親子での手紙交換。お互いに似たようなことを書いてて、ちょっとほっとする。

生きていることに、出会うことに、あらためて感謝、感謝の日々。


by malicosmos_meme | 2017-04-30 02:13

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